個人事業主が東日本大震災で被災した場合、平成23年分の事業用資産の震災損失については、その損失額を平成22年分の事業所得の必要経費に算入できる等の税制上の措置があると聞きました。どのような制度があるのか教えてください。
【所得税関係】
個人事業者の方について、所得税では次のような税制上の措置があります。
- 被災事業用資産の損失に係る取扱い
- 純損失の繰越控除
- 被災代替資産等の特別償却
- 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例
以下、各措置について概要を説明します。
1.被災事業用資産の損失に係る取扱い
(1)被災事業用資産の損失の平成22年分の必要経費算入
平成23年において生じた被災事業用資産の損失(事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等について東日本大震災により生じた損失。以下同じ。)については、その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができます。
なお、この場合には、平成23年において被災事業用資産の損失は生じなかったものとみなします。
(2)繰戻し還付特例
青色申告者が被災事業用資産の損失を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入した結果、平成22年分の所得において純損失が生じたときは、平成21年分の所得に繰戻して所得税の還付請求をすることができます。
2.純損失の繰越控除
現行の所得税法に基づく純損失の繰越控除は3年間ですが、被災事業用資産の損失を有する方の平成23年において生じた純損失の金額のうち、次に掲げるものは5年間繰り越すことができます(平成23年で生じた純損失を繰り越す場合は、平成28年まで繰越控除が可能)。
なお、上記1.により被災事業用資産の損失を平成22年分の必要経費に算入し、この結果生じた平成22年分の被災事業用資産の損失による純損失を繰越控除する場合には、平成27年まで繰越控除が可能ということになります。
(1)保有する事業用資産等に占める被災事業用資産の損失額の割合が10%以上の方
- 青色申告の場合は平成23年分の純損失の金額
- 白色申告の場合は被災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失の合計額
(2) 上記(1)以外の方
被災事業用資産の損失による純損失の金額のみ
3.被災代替資産等の特別償却
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、被災代替資産等を取得して事業供用した場合には、その取得価額に一定の償却割合を乗じた金額の特別償却ができます。
4.特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例
平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に被災区域内(東日本大震災により滅失をした建物等の敷地等の区域をいいます。以下同じ。)の土地等が関係する一定の買換えを行った場合に、その譲渡利益金額相当額の範囲内で圧縮記帳ができます。
【消費税関係】
被災事業者について、本来適用しようとする課税期間の初日の前日までに提出しなければならない「消費税課税事業者選択(不適用)届出書」「消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書」について、提出期限を延長するなどの緩和措置が講じられています。
なお、提出期限の延長は、ケースによって異なりますので、税務署に相談したり、国税庁のホームページを確認してください。
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